「どうして急に?」
「おれと仲良くしてると、いじめられるから」
「いじめ……?」
「そう。小学校の頃、おれとその友達は一緒に地域のサッカーチームに入ってたんだ。お母さんが病気になってから、おれはチームを辞めちゃったけど、そいつは続けて頑張ってて。でも、おれの家やおれの良くないウワサが広がり始めてから、そいつがおれと仲良いことを知ってるチームのやつらが嫌がらせしてくるようになったんだって。同じチームなのに、わざと足を引っかけてこけさせたりとか、いいポジションに回り込んでるのにパスを回してもらえなかったりとか」
「それ、ひどい」
「だよな。そいつ、サッカーうまくて、試合になるといつもスタメンに選ばれてたんだ。だけど、チームメイトとうまくいかなくなったせいで、小六の夏は試合のメンバーから外されたんだって。納得いかなくて抗議したら、チームメイトから『恭平と仲良くするのやめるなら、今までどおりにしてやる』って言われたらしい」
「そんなの、ただの脅しじゃん」



