「わたしが昼休みに中庭に行ってたのは、わたしが新海くんと一緒にお昼を食べたかったからだよ。そのことでカノン達にとやかく言われる筋合いないし、仲悪くもならないよ」
「そうかな。おれ、火曜日以降、ときどき西原さんの視線を感じるよ。それも、敵意のこもった視線。西原さん、おれがニコちゃんになにかしたんだと思ってるんじゃないかな。ニコちゃんは《ちゃんと話せばわかってくれる》って言ってたけど、西原さん達、《ちゃんとわかって》くれた?」
「……」
新海くんが、ほんの少し目を細める。
探るようなそのまなざしに、わたしの脈が少しずつ速くなっていった。
中庭で一緒にお弁当を食べるようになったときから、新海くんは『学校始まって以来の不良』とウワサされて人から避けられている自分が、わたしと一緒にいてもいいのか気にかけていた。
わたしはそれを、気にしすぎだと思っていた。
新海くんはウワサと違ってワルい人でも怖い人でもないし、ほんとうのことがわかれば、新海くんに付き纏う悪いウワサなんてすぐになくなる。
わたしと新海くんが親しくなったことがカノンやアキナや他のクラスメート達にバレたって、《ちゃんと話したら》わかってもらえる。
そんなふうに、呑気に考えていた。



