「ごめん。迷惑だったね……。これは、わたしが全部責任もって食べる」
ハハッと空笑いしてチクチクする胸の痛みを誤魔化すと、お弁当箱のフタを手に取る。
おかずの上にフタをかぶせようとすると、新海くんがわたしの手をパッとつかんだ。
「迷惑ではない。迷惑なのは、ニコちゃんじゃなくておれのほう」
「え?」
「ごめんね。火曜日の昼休みのあと、西原さんたちにに言われたんじゃない? おれとは関わるな、って」
眉尻を下げて少し苦しそうな表情を浮かべる新海くんに、ドキッとする。
どうしてそれを知ってるんだろう。カノンとアキナに空き教室に連れて行かれて問い詰められたとき、新海くんは近くにはいなかったはずなのに。
動揺して視線を左右に泳がせると、新海くんが「やっぱり」と口の中で小さくつぶやいた。
「だから、もう一緒に食べるのはやめたほうがいいよ。西原さん達に誤解されて、仲悪くなっちゃっても困るでしょ」
新海くんが口元を歪めて笑う。その目がなんだか哀しそうで、わたしまで胸がきゅっと痛くなった。



