初恋ランチタイム


「見て。新海くんの卵焼きに比べたら見た目は悪いけど、頑張ったんだよ。焦げ卵の塊を作ったわたしにしてはかなりの進歩」

 少し焦げ目の付いた形の悪い卵焼きを指差して、新海くんににこっと笑いかける。

 だけど新海くんは、わたしに愛想笑いすら返してくれなかった。

 新海くんは優しいから、頑張って作ったお弁当を見せれば「すごい」って少しくらいは笑ってくれるかと思ったのに。期待が外れてがっかりする。

 わたしだってバカじゃない。

「もう、一緒に食べるのはやめよう」というラインが送られてきた時点で、お弁当交換の約束がダメになるだろうってことはわかっていた。

 それでも早起きしてお弁当を用意して、今もこんなふうに必死になっているのは、せっかくつながった新海くんとの関係を壊したくないわたしの悪あがき。

 でも、やっぱりダメみたい。

 どれだけ笑顔で話しかけても無反応な新海くんに、さすがに心が折れてしまう。