初恋ランチタイム


 昼休みは四十分しかない。

 十五分も待たされれば、新海くんがここに来る可能性が低いってことに嫌でも気付かされてしまう。

 だけど望みが薄いとわかっても、わたしは新海くんのことを諦められなかった。

 もしかしたら、非常階段で待っているかも。

 雨は降っていないけど、今日の空を見れば天気が悪くないとも言えないし。

 なるべくポジティブに考えて立ち上がると、雨が降った火曜日に新海くんと一緒にごはんを食べた中庭へ向かう。

 非常階段の下に着くと、わたしはミニトートを胸に抱いて深呼吸した。

 それから、この先に新海くんがいることを願って、タンッ、タンッと一歩一歩ゆっくりと階段を上っていく。

 新海くん、いるかな。いますように。

 階段を一歩上るごとに、心音が少しずつ速くなる。