お母さんに教えてもらいながら作った卵焼きは、一回目と二回目の挑戦では卵を巻くときに形が崩れて焦げて大失敗。

 三回目でやっと何とか卵焼きの形にはなったけど、あまりうまく巻けなかったし、ところどころ焦げてしまって不格好。

 四回目の挑戦をするには時間も卵も足りなくて、少し形の悪い卵焼きをお弁当箱に詰めてきた。

 ほかに、新海くんが好きだと言っていたひと口とんかつも入れたし、お母さんのアドバイスを受けて、砂糖で少し甘く煮てクッキーの星型で型抜きをしたニンジンを飾り付けるなんていうカワイイこともやってみた。

 隣でお弁当を開いた新海くんに「すごいじゃん」って笑ってほしかったから。

 だけど……、花壇に座って十分待っても新海くんは中庭に姿を現さなかった。

 もしかして、今日は中庭ではなくて非常階段のところで食べてるのかな……。

 雨が降った火曜日に、新海くんと一緒にお弁当を食べた非常階段。その場所を思い浮かべながら、顔を上げる。