初恋ランチタイム


「今日は、中学生になって初めての体育祭でしょ。みんなが家から手作りのお弁当を持ってきてるのに、わたしひとりだけコンビニおにぎりを出すのがなんか恥ずかしくて。それで、中庭でこっそり食べようと思って逃げてきたの」

 苦笑いとともに、ぽろっと言葉がこぼれる。仲良しのカノンやアキナに見栄を張って逃げてきたくせに、初めて話す新海くんに本音を打ち明けてしまったのはどうしてだろう。

 見た目とはギャップのある新海くんの優しい笑顔に、気が緩んだせいかもしれない。

 わたしの話を聞いた新海くんは、「そうだったんだ」と小さく頷いて、ほかは何も言わなかった。

 新海くんにとってはどうでもいいことだろうし、それ以上に何も言いようがなかったんだと思うけど。

 わたしの心の中にあった、お母さんへの不満やカノンとアキナから黙って逃げてきたわたしの後ろめたさが消えて、すっきりした。

 嫌な気持ちを抱えているのって、健康によくない。


「新海くんは、どうしてここで食べてたの?」

「あー、うん。おれはいつも、だいたいひとりでここで食べてる。雨の日は、屋根のある非常階段下に行くんだけど」

 わたしが何気なく聞き返すと、新海くんが少し困ったように眉尻を下げた。

 新海くん、いつもひとりでお弁当を食べていたんだ。

 そういえば、新海くんは昼休みになると、カバンを持って教室からふらっと姿を消してしまう。