どうして、カノンもアキナも他のみんなも、新海くんのことを見た目とウワサで判断するんだろう。
カノンたちへの説明を諦めてため息を吐いたとき、五時間目の授業の予鈴が鳴った。
「あ、戻らないと」
アキナが空き教室の壁時計に視線を向けながらつぶやく。
「そうだね」
アキナにつられるように時計を見たカノンも頷く。
「ねえ、ニコちゃん。約束してね。もう絶対に、新海くんと一緒に昼ごはんを食べるのはダメだよ。そのほうが、ニコちゃんのためだから」
空き教室を出る前、カノンのアーモンドアイが念を押すように真っ直ぐにわたしの目を見つめてきた。
『ニコちゃんのため』ってなに?
納得のいかないわたしは、カノンの言葉にどうしても頷けない。
唇をぎゅっと堅く引き結んでいるわたしを見て、最終的にカノンのほうが、「約束したからね」と強引に話を締めくくった。



