「急にそんなこと言われても、ね……?」
「ね。だって、教室にいるときの新海くんって無表情で全く笑わないじゃん。いつもひとりでいて、わたし達とは一線を引いてる感じだし」
「それは……、新海くんも入学式で学校始まって以来の不良だなんてウワサをたてられちゃったから、みんなに遠慮してるんだよ。入学式に金髪で来たのだって、新海くん的にはちゃんと理由があったみたいだし」
「ちゃんとした理由って何? それがやましくない理由から、いつもひとりで周りを睨んでないで、もっとクラスのみんなと打ち解ける努力をすれば良くない?」
「たしかに。ニコちゃんの話を聞いただけじゃ、新海くんが怖くないって言われても信じられないかも。実際に、わたし達は無表情で近寄りがたい新海くんしか知らないし」
カノンとアキナが、お互いの意見に同調し合うように頷く。
責めてふたりだけにでも、新海くんが怖い人じゃないってことをわかってほしいのに。
わたしが新海くんのことをどんなに褒めても、カノンとアキナの中で彼のイメージは『怖い人』のまま変わらない。
それどころか。
「ほんとうは怖い人じゃないとか、話すと優しいとか、そういうのも無理やり新海くんに言わされてるの?」
わたしが話せば話すほど、新海くんの印象が間違った方向にゆがめられてしまう。



