「わたしは脅されてもないし、たかられてもないよ。むしろ、たかってるのは毎回新海くんにおかずをわけてもらってるわたしのほうかも」
「何言ってんの? ニコちゃん」
わたしの言葉に、カノンとアキナが怪訝な顔をする。
「カノンがどうして新海くんと一緒にいたのかって聞いてくるから、事実を話してるの。新海くんが秘密にしておいてほしいって言うから今まで黙ってたけど、新海くんとは体育祭のあとから週二で一緒にお昼を食べてる」
「体育祭のあとってことは、もう一ヶ月も?」
「そうだよ。カノンもアキナも他のみんなも、新海くんのことを見た目で怖そうって判断して避けてるけど、新海くんって全然怖い人じゃないんだよ。笑うと雰囲気変わるし、話し方も優しいし、料理もすごい上手いの」
新海くんの笑った顔を思い浮かべながらわたしが彼のことを褒め倒すと、カノンとアキナが戸惑ったようにお互いに顔を見合わせた。



