「よく思い出してみたら、最近のニコちゃん、火曜日と金曜日はいつも朝からそわそわしてたよね。なんかヘンだなって思ってたけど、新海くんのせいだったんだね。もっと早くわたしやアキナに相談してくれたらよかったのに。ニコちゃん、なにか弱みでも握られて、新海くんに脅されてるんでしょう?」
それどころか、とんでもない誤解をしているカノンに驚いてしまう。
脅されてるっ、って……。わたしが新海くんに?
「そんなことあるわけないじゃん!」
大きな声で否定すると、カノンとアキナが驚いたようにまばたきをする。
「でもわたし達が非常階段の下から覗いたときのニコちゃん、新海くんに奪われたお弁当を慌てて取り返してたよね。新海くんに脅されて、何かやらされてるんじゃないの? 週二でお昼ごはんをたかられてるとか」
非常階段でお弁当を広げて座っていただけで、そこまでの誤解を受けるなんてびっくりだ。
カノンたちの目には、新海くんと隣り合って座っていたわたしが怯えているように見えてたってこと……?
だとしたら、カノンとアキナの人を見る目は濁ってる。
脅されるどころか、あのときのわたしは、新海くんからお弁当交換の提案をされてドキドキしていただけなのに。



