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新海くんが去ってからしばらくして教室に戻ると、カノンとアキナがわたしの席で待ち構えていた。
カノンは綺麗なアーモンアイを三角につりあげて、アキナはその横で眉をハの字に下げて困った顔をしている。
「た、ただいま」
鈍感なフリをしてへらりと笑ってみたけれど、カノンはもちろんアキナもニコリともしてくれない。
「ニコちゃん、ちょっとあっちで話そう」
カノンがいつもよりも少し低い声でそう言って、わたしの手をつかむ。
そのまま教室の外へと引っ張り出されたわたしは、浅く息を吐いた。
カノンがわたしに何の話をするつもりなのかは、言われるまでもなくわかっている。
新海くんには、「カノンとアキナはちゃんと話を聞いてくれる子だ」と言い切ったけど……。
綺麗な真っ直ぐの髪を揺らしながら少し前を歩くカノンの背中を見る限り、この子がわたしの話を《ちゃんと聞いてくれる》とは思えない。



