初恋ランチタイム


「いいよ。初めに言ったと思うけど、中庭もここも全然人が来ないわけじゃないし」

「ごめん……」

「別にニコちゃんが謝ることじゃないし。それより、早く追いかけなくて大丈夫? あのふたり、仲良いんでしょ。おれといたことで、いろいろ誤解されるかも」

「カノンとアキナは、ちゃんと話聞いてくれる子たちだから大丈夫だよ」

「そうかな……」

 唇の片端だけを引きつらせるようにあげた新海くんが、自嘲気味に笑う。

 わたしに向けられる彼の瞳の温度が、比べて急激に下がったような気がする。

 新海くんの反応に、わたしはふと昨日からカノンとの中が微妙な空気になっていることを思い出した。

 アキナはともかく、カノンは本当に《ちゃんと話を聞いてくれる》だろうか。

 あの子はママの友達から聞いた新海くんの悪いウワサを丸ごと信じて、わたしに「新海くんとは関わらないほうがいい」と言っていたのだ。

 わたしの不安が伝わったのか、新海くんが苦笑いのままスッとわたしから視線を逸らす。