ガタン。
非常階段の下のほうで物音がした。
「ちょ、カノン。何してんの……」
「行こう」
え、カノン……?
聞こえてきたひそひそ声に、心音の高鳴りが急に不穏なものに変わる。
バタバタと去って行く音に焦って立ち上がると、非常階段から離れて校舎のほうに走っていくカノンとアキナの後ろ姿が見えた。
どうして、カノンとアキナがこんなところにいたんだろう。
もしかして、わたしの最近の行動を怪しんで後をつけてきてた……?
どうしよう……。
火曜日と金曜日に新海くんと一緒にお弁当を食べることは、誰にもナイショのはずだったのに。
バレちゃった。わたしと新海くんの、昼休みの秘密。
「ごめん、新海くん。わたし、バレないように気をつけてたつもりなのに……」
青ざめた顔で振り向いたわたしに、新海くんが首を横に振った。



