新海くんのお弁当なら、喜んで食べたい。
だけど、わたしの持ってきたお弁当との交換っていうのはかなりマズい。
だって今日のわたしのお弁当箱の中身は、ふりかけごはんに冷凍食品のおかずのオンパレード。
手作りのものがひとつもないわたしのお弁当と交換したって、新海くんには何のメリットもない。
「新海くんのお弁当はお金払ってでも食べたいけど、交換はムリ! だって、誰かに食べさせるなんて想定して作ってないもん」
「そう? この前見たニコちゃんのお弁当、すげーおいしそうだったよ」
「絶対ウソ」
「ウソじゃないし」
「ウソだよ。新海くんのそぼろごはんはめちゃくちゃ食べたいけど、わたしのと交換はダメ。絶対」
取られたミニトートを奪い返すと、新海くんはなぜか少し不満そうだった。
「おれ、マジでニコちゃんが作ったほう食べたかったのに」
「どうして? 新海くんの手作りのほうが絶対美味しいじゃん」
「だけど中村さんだって、こないだも今日も、苦手な早起き頑張って一生懸命作ったんでしょ」
新海くんの言葉に、胸がドキンとした。



