初恋ランチタイム


「だったらもう、おれの弁当とニコちゃんの弁当、丸ごと全部交換しちゃう?」

 涼やかな目元を少し細めた新海くんが、ククッと笑う。

「え、どうして?」
「だってニコちゃん、そぼろごはんも食べたいんでしょ」

 新海くんがそう言って、わたしのお弁当箱が入ったミニトートをひょいっと取り上げる。代わりに、三色そぼろごはんの入ったお弁当箱を渡してくるからちょっと焦った。

「新海くん、それ、本気で言ってる?」

「うん、本気。自分で作った弁当なんて食べ飽きてるし」

「飽きる? こんなおいしそうなのに?」

 新海くんのそぼろごはんは、ものすごくおいしそう。

 鶏そぼろは色が濃いめで、味がしっかり染みてるんだろうなあって感じだし。卵もぽろぽろなんだけど、食べるとちゃんとふわっとしてるんだろうなっていうのが見た目にわかる。

 それに、そぼろごはんが入った上段の下に隠れている下段には、わたしにわけてくれただし巻き卵やアスパラベーコン以外のおかずが入っているんだと思うと……。今にもお腹がグーグーと主張し出しそう。