初恋ランチタイム


「今日も自分でお弁当作ってきたの?」

 お弁当箱の入ったミニトートを膝の上にのせたまま座っていると、新海くんが横から覗き込んでくる。

「あ、うん。今日もチンして詰めただけだけど」 

「早起き苦手とか料理のセンスがないとか言ってたけど、お弁当作りとかカレーのリベンジとか、なんだかんだでやる気じゃん」

「やる気ってほどでもないんだけど……」

 新海くんの言葉に、少し照れ笑いする。

 この前初めて自分で詰めたお弁当を持ってきたとき、新海くんが「いいね」って言ってくれたから。

 新海くんと一緒にお昼ごはんを食べる火曜日と金曜日はなるべくお弁当にしようと決めた。

 単純だけど、おかずを詰めただけのお弁当でも新海くんが褒めてくれて嬉しかったし、わたしは案外、好きな人の前でいい格好をしたい見栄っ張りなのだ。

 キーマカレーに続き、今朝もわたしが早起きしてせっせとお弁当を詰めているのを見たお母さんは、何も言わなかったけど、何かを察してニヤニヤとしていた。

「今日の新海くんのお弁当の中身は?」

「え、そっちが気になる? 自分で持ってきてるのに?」「わたしのお弁当は、新海くんのおかずのおまけみたいなもんだからね」

「おまけって」

 新海くんがククッと笑いながら、いつもわたし用に余分に持ってきているおかずのタッパーを開ける。