そっと新海くんの姿を確かめると、彼は教室の喧騒とは無関心そうな顔で窓の外を見ている。

 そんな新海くんに余計な迷惑はかけたくないから、わたしは黙ってうつむいた。

 新海くんは、みんながウワサするようなワルい人じゃないのに。

 ウワサばかりが独り歩きして、誰も本当の新海くんのことを知ろうとしないことがもどかしい。

 中庭にカツサンドを届けに行ったとき、優しく笑いかけてくれた新海くん。その笑顔を思い出すと、胸がズキズキ、ヒリヒリとした。