お天気がいい日の午後は眠たい。

 窓際の一番後ろの席で、わたしは手のひらで口元を覆って欠伸を噛み殺した。

 五月の下旬。本格的な夏の始まりを感じさせる気温と湿度に、教室全体の空気はなんとなくダラけている。

 窓のほうを見ながらぼんやりしていたり、背中を丸めてうとうとしかけている生徒も多いなか、わたしの右斜め前の席の男子生徒はピンと背筋を伸ばして座っていた。

 真っ直ぐに黒板を見ている彼の髪は、派手な金色。そこにところどころ細い茶色のハイライトが入っている。

 教室の中で、彼の髪の色はよく目立っていた。

 中学の入学式の日。金色に染めた髪でやってきた彼はクラスメートたちをざわつかせ。そのまま敬遠されている。

 だけどわたしは……。

 教室の中で真昼の月みたいに浮いている金色が、今日も少し気になっている。