そう言って、美大生は東京へ戻り、ジュヌヴィエーヴはまた泣いた。


晩秋のこと。

長期休暇でもないのに、美大生は突然、ジュヌヴィエーヴの目の前に現れた。

「私の絵、受賞したの!」

それは、ジュヌヴィエーヴの肖像画である。

「凄い!おめでとう!」

二人は、手を取り合って喜んだ。

「ねぇ、夢を掴んだら私に伝えたいことがあるって言ってたでしょう?何?」

水鳥たちの泳ぐボートで、ジュヌヴィエーヴは尋ねた。

美大生は、少し言いにくそうに、ある言葉を伝えたところ、ジュヌヴィエーヴは涙を流した。

それは、初めての、幸せな涙であった。