Cherry Blossoms〜感情より大切なもの〜

「四月一日先生、そんなに見つめられると選びにくいですよ」

「す、すみません！スーツが気になってしまって……」

シュン、と明らかにどこか落ち込んでしまっている一花に桜士は今見ていたページを見せる。そこにあったのは、一花が好きそうなパフェやパンケーキなどが載っているページだった。

「せっかく初めて入ったカフェですし、四月一日先生も何か食べませんか？このパフェ、すごくおいしそうですよ」

カフェオリジナルのクーベルチュールで作られたチョコレートクリームがたっぷりのパフェや、新鮮な苺とマンゴー、そしてバナナアイスを楽しめるフルーツパフェ、小さなフルーツたっぷりのパフェと出来立てのワッフルがセットになったフルーツワッフルセットなど、たくさんのおいしそうなパフェが載っている。

「確かに、とってもおいしそうですね！でも今はあんまりお腹が空いてなくて……。コーヒーだけで大丈夫です」

一花は申し訳なさそうにそう言う。本来ならば、食べることが大好きな彼女がそう言ってしまうのは、やはり藍の死のショックが大きいためだろう。