「さすがeagleのメンバー!こんなにも面白い戦い、あの公安のワンちゃんと戦った時以来かな?九条桜士って名前を隠して、医者として君の働く病院で働いてる。名前は確か……本田凌」

「えっ……」

一花は驚き、足が止まる。その名前は先程まで一緒に患者と向き合い、命を救おうと奮闘していた大切な仲間の名前だ。彼が医師ではなく警察?一花は訳がわからなくなっていく。

「ッ!」

刹那、一花の腕にチクリと痛みが走る。そしてそれを自覚したと同時に、一花の目の前がグニャリと歪み、瞼がどんどん重くなっていった。

「な、にを……」

「ただの麻酔薬だ。数時間で目が覚める」

そう言ったのは、イエティでもメドゥーサでもない別の男性だった。ぼやける一花の視界に長い黒髪が入る。この髪を一花は見たことがある。これはーーー。

「キョンシー、ありがとう」

「これ以上、体とドレスをボロボロにされたらボスの命令とはいえ、殺しかねなかったわ」

一花の意識はどんどん遠くなり、瞼は完全に閉じられた。三人の声もどんどん聞こえなくなっていく。

(本田先生、クラウディオ先生、ヨハン、アルフレッド、モニカ、ナタリア、オリバー、アルオチ、リティク……!助けて!)

一花の意識は、完全に暗闇の中へ落ちていった。