Cherry Blossoms〜感情より大切なもの〜

「お腹はもう痛みませんか?」

一花が訊ね、千春はゆっくりと頷く。そしてその後、「私、何の病気だったの?」と訊ねた。一花はニコリと微笑み、言う。

「突然の腹痛でしたから、腸閉塞か腸捻転、もしくは胃捻転かと思いましたが、検査の結果、急性虫垂炎だとわかりました」

「一般的に盲腸と呼ばれている病気で、若い方がなりやすい病気の一つです。蒼井さんの場合、開腹手術が必要なほどではなかったので、投薬治療で治していくことになりました」

桜士がそう説明すると、千春は「盲腸……」と呟きながら自身のお腹に触れる。その顔は安堵しているように思えた。

(さて、あとは……)

桜士は微笑んでいる一花に近付き、耳元で囁くように声をかける。

「四月一日先生、僕はナースステーションの方に行きますから、蒼井さんとゆっくり話してください。きっと、蒼井さんは言いたいことがあると思うので」

桜士がそう言うと、一花は一瞬驚いた顔を見せた後、また笑顔になり「はい」と頷いた。