Cherry Blossoms〜感情より大切なもの〜

隣を少し緊張した顔で歩く一花を見ながら、桜士は頰を緩ませる。そして、二人がパーティー会場に指定された部屋に入ると、広々とした部屋には大勢の着飾った人が集まっていた。

小学校の同窓会だというのに、歌手や俳優など有名人の姿も何故かあり、ファンであろう人たちがサインや握手を求めている。千春がコネを使って呼んだのだろう。

「すごいですね……」

煌びやかな世界に、一花はどこか圧倒されてしまったようだ。キョロキョロと辺りを物珍しそうに眺めている。

天井からは巨大なシャンデリアが吊るされ、ビュッフェ形式となっている料理は一流シェフによるフレンチやイタリアンが並び、宝石の入った壺などがズラリと飾られている。

「ええ、確かにすごいですね」

桜士はそう言ったものの、パーティー会場には何も感じていなかった。公安の潜入捜査でこのような場所に来ることもあるためである。それよりも、桜士は気になることがあった。

（さっきから、四月一日先生をみんな見ているな……）