千春たちが去って行った後、アルフレッドが「小学校の時の同級生か……」と千春たちがいた場所を見つめる。その感情のない冷たい瞳に、桜士は犯罪組織Cerberusの幹部たちの瞳を思い出し、背筋に寒気が走る。

「一体、何があった?」

注文を終えたモニカたちがテーブルに戻り、場の空気で何かあったと察したのか、訊ねる。一花が口を開こうとする前に、ヨハンが言った。

「一花、俺、見てた。お前が一回俺らに話してくれたことがあっただろ?日本の小学校での話。お前に嫌がらせしてたのってあいつらじゃねぇのか?あいつらの態度を見てたら、そんな気がしたんだ」

「嫌がらせ……?」

桜士がそう呟くと、グシャリと小さな音がする。横を見れば、一花はどこか悔しげな表情を見せながら封筒を握る手に力を込めていた。