魔法の登場するシーンは当然CGが使用されているものの、クオリティーの高いCGは、まるでそこに本当に魔法があるかのように思えてしまう。そして、魔法が登場するシーンでチラリと桜士が隣を見れば、一花が目を輝かせていた。それを見るたびに幸せな気持ちになり、桜士は「来てよかった」と心から思う。

「ところで、これからどうするんだ?」

モニカが訊ねる。朝一番の上映時間で映画館に入ったため、今はまだ十一時を過ぎた頃だ。だが、みんなドリンクやポップコーンでお腹は膨れ、「お昼、食べに行きましょう」とは一花ですら言い出さなかった。

「とりあえず、ブラブラしたらどうだい?暇つぶししてればお腹も空く」

リティクがそう言い、桜士たちは歩いて気になったお店を見ていくことにした。歩き始めてすぐ、アルオチが足を止める。

「わあ〜!これ、すっごく可愛い!」

「可愛い!これ、あの絵本のキャラクターのだ!」

アルオチの隣にアルフレッドが並び、雑貨屋に並べられたキャラクターがプリントされたマグカップやタオルなどを見て声を上げる。桜士たちも雑貨屋に入ることにした。