聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい


そう言われても、簡単に想像できないよ…。



暴走族なんていう人たちとは無縁の生活を送ってきた私にとって、何が当たり前で何がダメなのか。



この世界での“普通”すらわからない。



「翠はこの前、攫われそうになりましたね?」



「あ……はい」



この前というのは、私と紫呉さんが出会った日のことを指しているのだろう。



すごく怖くて、もうダメかと思った時に紫呉さんが助けてくれたんだよね。



紫呉さんに頷き、話を続けてもらう。



「ああいうことが日常的に起こっているんです。関係ない人たちを勝手に巻き込み、危害を加える。暴走族というのは大抵そういう奴らが多い。非人道的なんですよ」



それを紫呉さんが言っちゃうんですか…?



仮にもノヴァだって暴走族なのに、まるで自分たちはそうじゃないみたいな物言いをする紫呉さん。