とてもいい感じの空気に包まれれば、2人の言い争いもなくなる……



「やば、地獄耳じゃん」



「このくらいの距離にいれば普通に聞こえます。そろそろ本題に入りますから、斗真は余計なこと言わないように」



「俺がいつ余計なこと言ったよ?」



「毎秒言ってるでしょう。直せと言っているのはそういうところです」



…わけはなく、普通に繰り広げられる言い合いにげんなりしてきた。



この2人っていつもこうなのかな…。



ついさっきまで私は、紫呉さんにこの倉庫の案内をしてもらっていた。



案内といっても、そんな部屋数があるわけでもないし…と思っていたけど…。



実はここ、ただの倉庫じゃなかったんです。



倉庫は倉庫でも、リノベーションされたオシャレな家…という感じ。



外構こそ暗くてボロボロで、かなり近寄り難いイメージがあるものの、中に入ってみればあら不思議。