聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい


「えっ…!あ、待ってください紫呉さん!この方は一体誰なんですか…!?」



さすがに何も聞かずにいれるほど、肝が据わってる人間じゃない。



この状況の中で普通にしていられるわけないよ…!



「これのことは放っておいても構わないんですが…翠に言われたら、紹介せざるを得ませんね」



なんとか止まってくれた紫呉さんに、ひとまず安心して胸を撫で下ろす。



「あ、自己紹介?なら俺にさせて」



そんな私たちの様子を見ていた彼が、ニカッと笑って話し出した。



「俺は蘭斗真(とうま)。紫呉の弟だから、仲良くしてくれると嬉しいな」



「お……弟さん…!?」



まさかの事実に口をあんぐりしてしまう。



紫呉さんに兄弟いたんだ……。



勝手に一人っ子だと思っていた…というより、家族構成が謎でしかなかったから、本当にびっくりした。