つい昨日まで普通の暮らしをしていたのに、そんな急に総長の姫になるだなんて…。
この暴走族という世界に足を踏み入れることを、怖がっている自分がいる。
そして、冒頭に戻るのであった。
***
「紫呉さんの気持ちは嬉しい…です。けど、やっぱり大袈裟すぎませんか…?」
私を狙う人なんて、きっとあの人たちくらいだ。
それか、よっぽどのもの好きじゃないとありえない。
「まだ言いますか」
「だ、だって……」
どんなに紫呉さんがカッコよくても、それとこれとは話が違う。
…このままここにいたらダメだ。
恩を仇で返すなんて、それこそ人としていけない気がするけど。
「っ…私、帰ります…!!」
気がついたらそう言って、部屋を飛び出していた。
「帰るって、帰り道わかるんですか…!?」



