改めて紫呉さんの凄さがわかってきたところで、斗真さんが「でも…」と口を開いた。
「紫呉ってね、ほとんど手を出さないんだよ」
急に真面目な顔つきをするものだから、何を言い出すのかと思えば…。
「…どういうことですか?」
「だから、そのまんまの意味。まぁ足は出すけど…殴ったりとかはしないんだよね」
あ、あんまりよくわからない…。
ちょっと理解できなくて首を捻ると、そんな私を見かねた斗真さんが続けて説明してくれた。
「紫呉は指揮を執ることに徹してんだ。色んなパターンを想定して、それをメンバーに叩き込ませる。んで、作戦実行。それでほとんど上手くいくから、怪我することもないんだよ」
……そういうこと、なんだ。
ゆっくり、私にもわかるように話してくれるからなんとなくわかってきた。
…紫呉さんには、隙がないってことだよね。
何かされることを全て予測してから乗り込んで、手を出させる事を前に終わらす。



