あぁ…紫呉さんだ。
紫呉さんが、助けに来てくたんだ。
一番助けに来て欲しいと思った人が、今までで一番焦りながら私を助けに来てくれた。
その一瞬で、張り詰めていた緊張の糸が切れたのだろう。
プツリ、意識はそこで途絶えた。
*
「…………い」
………誰かが、私を呼んでる…?
ぼんやりとした意識の中で聞こえる僅かな声。
まぶたが重くて顔はハッキリ見えないけど、少しなら目を開けられそう。
「あ、よかった……起きたみたいだね。具合は大丈夫?」
薄く目を開けると、見覚えのある顔が私を見下ろしていて。
「斗、真さん……?」
確信を持ってそう問いかければ、彼はニカッと笑って頷いた。
「そうそう、紫呉の弟の斗真だよー。久しぶりだね、翠ちゃん」
人懐っこい笑みを浮かべる彼は、やっぱり斗真さんだったらしい。
「今飲み物持ってくるから、ゆっくりしてて」
「え、あ……」
私がなにか聞く前に、斗真さんは部屋を出て行ってしまった。



