「違う…っ、貴方が怖いんじゃない…。貴方を怖がる暇なんて…私にはない…っ!」
そんなことよりも、私の頭の中は紫呉さんしかいないの。
「私の心の隙間には…頭の中には、貴方が入る隙間も余地もないんだからっ…!!」
頭が沸騰する感覚。
考えるより先に、そんな言葉が口から飛び出していた。
「は…なにそれ。翠ちゃんは僕のことだけを考えてればいいんだよ。他のことなんて考える暇もないくらい、僕を怖がってよ。泣いてグズグズになって、僕しかいないって縋ってよ」
っ…ど、どうしよう、怒らせちゃったかもしれない。
蓮見先輩の瞳から光が消えうせ、真っ黒な瞳孔がこちらを見ている。
「…僕の思い、ちゃんと愛情表現しないと伝わらないのかな」
「っえ…?」
すると、少し遠くにいた蓮見先輩がゆっくりこちらに近づいてきた。



