「翠、これだけは言っとく。翠の無自覚は良いところでもあるし可愛いところなんだけど、それだけ自分が可愛いってことはちゃんとわかっててね?」
彩那ちゃんがグイッと顔を近づけて、珍しく真剣な顔をする。
「う、うん…?」
大事なことを言われているのはわかるんだけど、内容がイマイチわからない。
彩那ちゃんは私を可愛いって言ってるけど…もし、仮にそうだとして。
今まで自分のことをそういう風に見てこなかったから、そんなすぐに考え方を変えるのは難しい。
「その顔、わかってないな?」
「ご、ごめんなさい……。でも、なるべく覚えておきます」
「なるべくじゃダメなのー!!」
彩那ちゃんが叫んだ後、ちょうどSHRが始まるチャイムが鳴り響いた。
今日の放課後も、紫呉さんが迎えに来てくれるらしい。
放課後まで何も起こらないといいな…。
そんな日常の平穏を願わずにはいられなかった。



