「入ってくれる? やったー!!」
「みかるちゃん、最高!」
「とてもうれしいです」
 モニ先輩、セラ先輩、テツ先輩があたしの返事を喜んでくれた。

「それじゃ、みかるんには、ベースを弾いてもらうよ」
「はっ……!」
 モニ先輩に言われて気づいた。
 そっか、入部するということは、あたしも楽器を弾かなきゃいけないのか。
 うえええ、あたしに演奏なんてできるかな。
 音楽の経験は、学校の授業を除けばほとんどない。
 それに、ベースっていう楽器のことをよく知らないし。
 なんとなく、ギターみたいな楽器ってことはわかるけど、具体的にどんな音が出るのかとか、どうやって弾くのかとかさっぱり。

「みかるんは、ベース弾いたことある?」
「いえ、ありません……」
 体から空気が抜けるのを感じながら、モニ先輩の質問に答える。
 すると、
「それでは、浅野くんに教えてもらうのがいいでしょう」
 テツ先輩が、さわやかスマイルをあたしに向けた。
 ちょっ、浅野くんに?
「え、おれっすか?」 
 ギターに目を落としていた浅野くんが、苦い顔でテツ先輩を見る。
 初めて、浅野くんとおんなじ気持ちを共有した気がする。「イヤだ」って。
 
 そんなあたしたちの心境を知ってか知らずか、テツ先輩の顔はやはり晴れ模様だ。
「ええ、弦楽器同士、通じるところも多いはずです」