小説家なんて大そうなモノじゃない。そんなモノなりたくたってどうせなれやしない。現実を浮き彫りにされた気がして、見ず知らずの男に何だか馬鹿にされたようで、かっと顔が熱くなる。私はノートを抱えたまま男を睨みつけた。
「春瀬……月乃?、春乃月瀬?これどっちがアンタの名前?」
男は私が抱えているノートの表紙の名前を辿々しく読み上げる。
「そんなこと聞いてどうすんのよっ」
「別に?ただ単に興味?俺も二つ名前あるから」
「え?」
男は少し離れた砂浜の上に無造作に置かれたギターを指差した。音楽には全く疎い私だが、そのギターがとても使い込まれていることだけはわかった。
「歌うたってんの、俺」
「それって、シンガーソングライターとかいうやつ?」
「そんなんじゃない。ただの唄歌い」
「春瀬……月乃?、春乃月瀬?これどっちがアンタの名前?」
男は私が抱えているノートの表紙の名前を辿々しく読み上げる。
「そんなこと聞いてどうすんのよっ」
「別に?ただ単に興味?俺も二つ名前あるから」
「え?」
男は少し離れた砂浜の上に無造作に置かれたギターを指差した。音楽には全く疎い私だが、そのギターがとても使い込まれていることだけはわかった。
「歌うたってんの、俺」
「それって、シンガーソングライターとかいうやつ?」
「そんなんじゃない。ただの唄歌い」



