「……蒼、あのね。昨日の蒼の曲すごく優しくてずっと聴いていたくて、心の真ん中があったかくなる曲だった。私……すごく好きだよ」

「そっか……良かった。あの曲さ……月瀬を想って作ったから」

「え?」

蒼は真っ直ぐに私を見つめる。青い髪がさらりと揺れて空の青と海の青に混ざっていく。

「俺、月瀬が好きだよ」

「蒼……」

「たった七日間だったけど……俺にとっては初めての本気の恋だった。月瀬と出会ってからもう一回夢追いかけてみようって自分を信じてみようって思えた。本当に……ありがとう」

今日だけは泣きたくなかった。蒼が見る最後の私は蒼が好きだと言ってくれた笑った顔でサヨナラしたかったから。

「私も……蒼が好き……恋愛ごっこじゃなかったの……私も初恋だったの……」

「うん、俺も恋愛ごっこなんかじゃなかったよ」

何度押し込めようとしても、瞳から重量にそって涙は砂浜に無数に落下していく。

「泣くなよ……えっと持ってたかな……?」

蒼が困ったようにポケットを探るのを見て、私も無意識にワンピースのポケットを探る。

「……あっ……」

蒼が私の声に反応すると覗き込んだ。