──7day

その日、蒼からの連絡はいつもより随分早かった。ちょうど良かった。昨晩からほとんど眠れなかったから。

──『海で10時に待ってる』

私はブルースターに似ている青い小花柄のワンピースを着ると早めに家を出た。水色の自転車を海辺の入り口に停め、いつも蒼と座る砂浜へ行くが蒼はまだ来ていない。

「蒼を待つの……初めてだな」

穏やかな波音が聴こえてきて、蒼との思い出が波に乗って寄せては返す。

たった七日間だったのに、もっと蒼と長い時間を過ごしていたかのような錯覚を起こす。いつも蒼は私を待ちながら、どんなことを考えてたんだろう。

「……月瀬おまたせ」

振り返れば階段から大きなボストンバックを持った蒼が砂浜へと降りてくる。

「蒼……それ……」

「うん……少し話そ。月瀬の夢も持ってきたし」

蒼は砂浜の上にボストンバックを置き、その上に肩からかけていたギターのケースを乗せ紙袋だけを手に持った。