その物語のタイトルはいま君の掌の中に

(どうしよう……迷惑だったかな……)

もしかしたら毎年家で過ごしたくないくらいだ。誕生日くらい一人で好きなことをしながら過ごしたいのかもしれない。

「なぁ……夜、出てこれる?勿論迎えにくるから」

「え?夜?」

蒼が人差し指を空に向けた。

「俺の毎年誕生日の夜、海に星見に来てんだよね。毎年一人だけど、今年は月瀬と一緒に見れたらなって……でも夜だから家大丈夫かなって」

「行けるよっ」

なんだか涙が出そうになる。

蒼に誕生日だからと明日は会うのを断られたらどうしようかと思ったから。

「じゃあ、約束な」

泣きそうになった私に気づいたのか蒼が私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。