その物語のタイトルはいま君の掌の中に

「えとね、一つ目は……優しいところ。シャツ貸してくれたり、口下手な私のことわかってくれてフォローしてくれたり……」

「うん……」

「二つ目は、私の目を見て話してくれること。蒼がちゃんと私自身をみて私の事を理解しようとしてくれてるみたいで、その嬉しいの……あと最後は……」

恥ずかしさから段々声が震えてくる。蒼が繋いでいる掌をぎゅっと握りしめた。

「……ちゃんと聞くから」

私は一つ深呼吸した。

「……蒼が……よく笑うところ」

蒼が笑うといつの間にか私も笑ってる。私は蒼と出会ってからこの短い期間に蒼の笑顔にいつも元気をもらっている。思わず自分自身も笑顔になってしまうほどに。

「好きなとこ、おそろじゃん」

蒼が白い歯を見せて笑った。その満面の笑みを見ながら私も自然と微笑み返していた。