その物語のタイトルはいま君の掌の中に

「まず気遣いできるとこかな、待ち合わせで俺より早く来ようとしただろ?つまり俺を待たせるのが悪いって思ったわけで。あと、2つ目は寂しいをちゃんと知ってて他人に寄り添えること。最後が……」

蒼が3本目の指を立てる。

(心臓……飛び出ちゃいそう……)

それにもうすでに私の顔は燃えているんじゃないかと思うほどに熱くて堪らない。ふいに蒼の掌が私の頬に触れると蒼の瞳と視線が合うよう持ち上げた。

「蒼……私……恥ずかしい」

「俺も恥ずかしいって。でも最後まで聞いて」

「う、ん……」

「……笑うと可愛いところ。以上」

蒼は大きな掌をするりと離すと青い髪をガシガシと掻いた。

「……ありがとう……」

「どういたしまして」

蒼と私は顔を見合わせて笑った。