蒼の言葉に言葉が詰まった私は蒼から視線を逸らすと、中庭の桜の樹を眺めた。見れば可愛らしい桜がちらほら咲きはじめている。
「えと桜……綺麗だねっ」
どうしていいか分からなくて話題を変えた私を見ながら、蒼がケラケラ笑った。
「どんな話題の変え方だよっ、結局俺が恥ずいだけだったし」
「ごめんね、慣れてなくて……」
今まで自作の小説の中では、『好きだ』とか『可愛い』と言った台詞を使って書いたりしていたが現実世界で自分に向かって言われると気恥ずかしくて、でも嫌じゃなくて、こんな浮ついた感情になることを今初めて知った。
「俺、月瀬の好きなとこ見つけたかも」
「え?」
蒼はいつも唐突だ。
「恋愛ごっこ始めてから2日しか経ってないけどさ、俺凄くない?もう3つも見つけた」
「えと……ある?私に?」
私は自分が好きじゃない。好きじゃないどころか嫌いに近い。何も取り柄がなくて、感情はいつだって灰色でいつも前に進めずにひたすら同じ場所で蹲っている。
「いいところがない人間なんていないしさ、月瀬は自分のことだから、わかんないかもだけど、俺にはあるよ。月瀬の好きなところ」
蒼が形の良い唇を引き上げる。そして人差し指を立てた。
「えと桜……綺麗だねっ」
どうしていいか分からなくて話題を変えた私を見ながら、蒼がケラケラ笑った。
「どんな話題の変え方だよっ、結局俺が恥ずいだけだったし」
「ごめんね、慣れてなくて……」
今まで自作の小説の中では、『好きだ』とか『可愛い』と言った台詞を使って書いたりしていたが現実世界で自分に向かって言われると気恥ずかしくて、でも嫌じゃなくて、こんな浮ついた感情になることを今初めて知った。
「俺、月瀬の好きなとこ見つけたかも」
「え?」
蒼はいつも唐突だ。
「恋愛ごっこ始めてから2日しか経ってないけどさ、俺凄くない?もう3つも見つけた」
「えと……ある?私に?」
私は自分が好きじゃない。好きじゃないどころか嫌いに近い。何も取り柄がなくて、感情はいつだって灰色でいつも前に進めずにひたすら同じ場所で蹲っている。
「いいところがない人間なんていないしさ、月瀬は自分のことだから、わかんないかもだけど、俺にはあるよ。月瀬の好きなところ」
蒼が形の良い唇を引き上げる。そして人差し指を立てた。



