「静かだな、誰も居ないじゃん」
春休みにわざわざ図書館に来る人は少ないのだろう。一階の児童書や園芸関連のコーナーには子供連れや年配の方がちらほら居たが二階の文芸、辞典・漢詩コーナーは今は私と蒼の二人だけだ。
「……あの」
「何?」
「蒼くん……どうして図書館で待ち合わせなの?」
「月瀬、蒼でいいって」
「あ、慣れなくて」
蒼が机に頬杖をつくとじっと私を見た。
「なぁ、今日で恋愛ごっこ2日目だろ?俺たち……期間限定な訳だし、時間に限りあるからさ」
「うん」
初めての恋人に舞い上がっている自分がどこかにいたのだろう。時間に限りがある関係だということを私も忘れてはいけない。
「でさ、恋人ってさお互いのこと知ってるの前提だし……今日はお互いの好きなことと好きなとこ話したいなって思って、ここにした」
「え?好きなこと、と好きなとこ?」
目を丸くした私を見ながら蒼が唇を持ち上げた。
「月瀬の好きなことって、小説書くことだろ?」
「あ、うん……」
「てことはさ、本が好きなんだろうなって」
「あ、だから蒼、今日私を図書館に誘ったの?」
「そゆこと。俺の好きなことはどこでもできるし」
「ん?蒼の好きなことって音楽だよね?」
「正解」
蒼はワイヤレスイヤホンをポケットから取り出して見せるとすぐにまたポケットに仕舞った。
春休みにわざわざ図書館に来る人は少ないのだろう。一階の児童書や園芸関連のコーナーには子供連れや年配の方がちらほら居たが二階の文芸、辞典・漢詩コーナーは今は私と蒼の二人だけだ。
「……あの」
「何?」
「蒼くん……どうして図書館で待ち合わせなの?」
「月瀬、蒼でいいって」
「あ、慣れなくて」
蒼が机に頬杖をつくとじっと私を見た。
「なぁ、今日で恋愛ごっこ2日目だろ?俺たち……期間限定な訳だし、時間に限りあるからさ」
「うん」
初めての恋人に舞い上がっている自分がどこかにいたのだろう。時間に限りがある関係だということを私も忘れてはいけない。
「でさ、恋人ってさお互いのこと知ってるの前提だし……今日はお互いの好きなことと好きなとこ話したいなって思って、ここにした」
「え?好きなこと、と好きなとこ?」
目を丸くした私を見ながら蒼が唇を持ち上げた。
「月瀬の好きなことって、小説書くことだろ?」
「あ、うん……」
「てことはさ、本が好きなんだろうなって」
「あ、だから蒼、今日私を図書館に誘ったの?」
「そゆこと。俺の好きなことはどこでもできるし」
「ん?蒼の好きなことって音楽だよね?」
「正解」
蒼はワイヤレスイヤホンをポケットから取り出して見せるとすぐにまたポケットに仕舞った。



