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 帝国に来て、俺とユーリ様の夢のような生活が始まると胸を膨らませていた。

 道中の旅も婚前旅行のようでそれはもう楽しかったが、いかんせんユーリの護衛が最優先だったため当然甘い空気はない。でもこれからは違う。ユーリはもう誰のものでもない。

 これでやっと愛しい彼女を堂々と口説けるのだ。この家の中ではフランセル公爵家にいた時よりも、ユーリを近くに感じることができるからこれは最大のチャンスだ。

 帝国に来て一週間が経ち日々の生活も落ち着きを見せ、俺はどうやってユーリの心を揺さぶるか考えていた。

 ところが、ユーリは突然『ダラのプロ』になると言いだした。しかも続けて俺に自由にしろというではないか。てっきりクビにされるのかと思い、それは断固拒否したくて覇気を放ってしまった。

「護衛の仕事はないということよ。家から出ないし。だから家も別にしていいし自由にしてと言ったの!」
「……なるほど、しかしそれでは俺が……」