悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。

 懐かしい記憶とともに、チョコクリームの甘さと幼い美華の笑顔が蘇る。おやつ代わりによくふたりで半分にして食べていた。いつも私はチョコクリームの少ない上半分、美華にはチョコクリームの多い下半分を食べさせていたけど、いつしかそれが反対になった。

『お姉ちゃんは、いつもお仕事頑張ってるから!』

 そう言って笑う美華の笑顔が浮かんで、思わず手が伸びる。

「フレッド、これもいいかしら?」
「ええ、もちろんですよ」

 穏やかな微笑みを浮かべるフレッドの視線が温かくて、少しだけ泣きたくなった。

 その翌日から私は念願だった将来の不安のないダラ生活を始めることにした。
 好きな時に起きて、好きな時に寝て、好きなことだけして過ごす。化粧品販売については、すでに人を雇って任せてあるから、定期的に収入が入ってくるのでお金の管理だけしてればいい。

「というわけで、私、明日からダラのプロになるから」
「は?」

 フレッドがポカンとしている。口を開けたまま呆けていてもイケメンはイケメンだなと思いながら、より詳しく説明した。