純白の扉を開き、驚く侍女や騎士を無視して部屋の主の元へ足を進める。俺が部屋に入ってきたことも気付かないほど、手元の紙に意識を集中させていた。それはどうやらユーリからの手紙のようだ。
 それなら話は早いと、ミカエラに声をかけた。

「ミカエラ、手を貸せ。ユーリを落とす」
「うわっ! お兄様、今お姉ちゃんからの手紙を見たの……!」
「ああ、攻略法があると言ったな?」
「本気なのね?」

 ミカエラはジッと俺の本気を窺うように見つめている。
 気になるならいくらでも調べればいい。俺はユーリ以外を妻にしないと、もう二度と手放さないと心に誓ったのだ。

「当然だ、俺にはユーリ以外いない」
「わかったわ。その前にひとつお兄様に聞きたいことがあるの」
「なんだ?」

 ミカエラは視線を落として前世のユーリのことを話しはじめた。

「お姉ちゃんは前世であまりいい男性と出会えなかったの。浮気されたり、裏切られたり、都合よく扱われたり……わたしはそれがすごく悔しかった。お姉ちゃんはもっとつらかったと思う」
「そうだな、ユーリはそんな風に扱われていい女性ではない」
「でもね、その時の経験があるから、きっとすごく臆病になっていると思うの」