私たちは聖女の穢れを浄化させる方法を模索していた。

「それでどうやって穢れを払うかよね。ミカはなにか知ってる?」
「うーん、原作だとイリスが聖剣に宿っている神々の力を使って、邪神を滅ぼしてたけど。聖女は生身の人間だから効くかどうか……」
「聖剣か……伝承では透き通る刃は悪しき心を打ち砕くとあるが、本当に実在するのか?」
「お兄様、聖剣は実在するわ。イリスが密かに受け継いでいるの」

 ミカは原作を読み込み、ファンブックも当然のように集め、さまざまな情報を網羅しているので本当に頼りになる。イリス様は何度か夜会でも会ったことがあった。燃えるような赤髪に琥珀色の瞳が印象的な令嬢だ。

「そうか、それならまずは聖剣だな」
「私がイリス様と面識があるから、一度バスティア王国へ戻るわ。帝国からうまく抜け出せれば……だけど」
「それなら俺とリンクがサポートする」
「フレッド、リンク……ありがとう」

 指名手配されている身では、帝国から出て戻ってくるのも危険が伴う。でもこのふたりがいてくれるなら、逃げ切れる可能性が高い。

 だけど、万が一私が捕まったり、聖剣が手に入れられなかったら? 聖剣だけに解決方法を絞るのでは、不測の事態に対応できない。