共犯契約〜ヤクザの跡取りに魅入られて〜




「すっ、すいませんっ……!! ま、まさか遙さんの」
「誰に許可を取って喋ってるの?」
「ぁ」
「自分でした事の落とし前くらいしっかり付けろよ。それが此処の決まりだろ?」

 男は黙り込み、野次馬含めこの場の視線が一気に私に集中する。
 自分でしたことの落とし前。──そうだ。この男は私の大切な物を踏みつけ、あまつさえ私に暴力を振るった。自業自得だ。
 許せない、許したくない。
 私は遙と呼ばれた美丈夫に向け、掠れた声を上げる。
 
「そいつ、こ、ろして…………」
「へぇ! それが望み?」
「落とし前、付けさせて、くれるんでしょ…………??」
「ははは、いいよ。……最高」

 遙は目を見開き大きく口角を上げると、何処からか現れた不良達に囲まれた泣き喚き悲鳴を上げた男から手を放す。