「合格、合格、合格…………お願い、お願いっ」


 カチ、カチ、と壁掛け時計の秒針だけが自室の中に響く。そんな中、机に肘を突き祈るように手を組んで指定された時間を待つ。
 
 私、吉岡花絵は、歳の離れた姉の通っていた、県でも偏差値がダントツに高く且つSNSで話題になる程制服が可愛い高校に入学することが小さな頃からの目標だった。
 モデルの姉は才色兼備で常に沢山の人に囲まれており、姉に比べると見劣りする、どこにでも居る何をとっても普通な妹の私に対しても特別優しくしてくれた。姉は私にとって自慢の姉だった。

 だから私も、姉にとって自慢の妹になりたくて今回の受験に挑んだ。両親や担任には最初反対されたけれど、毎日毎日必死に勉強をして好きなことも全て我慢し、何とか合格圏内に食い込み今回の受験に臨む事ができた。
 現在海外でモデルの仕事をするお姉ちゃんも応援してくれて、受験後の自己採点だって、ぎりぎり点数も足りているはず。
 どうか、どうかお願い。お願いします……!!

「じ、時間だっ……!!」