それから蒼永がまだ戻ってきそうにないので、ちまちま料理をつつきながら待っていた。
蒼永が青人さんと長電話なんて、珍しいなぁ。
料理冷めちゃうよ?
「ごめん、待たせて」
「ううん、大丈夫?何かあった?」
「大丈夫…」
「そう……?」
でも蒼永、明らかにさっきよりも顔色が悪い気がするんだけど……もしかして、
「おじいさまに何かあったとか!?」
「え?じいちゃんは元気だよ。
むしろちょっと休んで欲しいくらい」
「そうなんだ」
じゃあ、何があったんだろう……?
私には話せないことなのかな。
お家のことなら私が口出すことじゃないと思うけど、ちょっと寂しいな……。
「……咲玖」
「は、はい」
何だかちょっと改まったみたいな雰囲気に、思わず私も背筋を伸ばす。
「実はその、じいちゃんの見舞いに親戚がくることになって。
だから今日は実家に帰ってくれる?」
「えっあ、そうなんだ…わかった」
「ごめん。もしかしたら、しばらく会えないかも」
「そ、そっか……」
仕方ないよね、と思いつつも寂しくて仕方なくて、喉を通る料理が冷たく感じる。
しばらくっていつまで?
そう聞きたいけど、上手く口に出せない。
「っ、仕方ないよ!その分今日は最後まで楽しもうね!」
「うん」
蒼永の前では笑ってみせたけど、精一杯の強がりだった。
楽しい音楽とともにライトアップされたパレードはとても綺麗だったけど、夜空の中で輝く光が眩しくて、少し切なくも感じた。